絵本作家 炭竃裕一

 

絵本作家 すみがまゆういち

 

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ある村にずっとひとりぼっちで生きている悪魔がいました。
ひとりぼっちの悪魔は、ある契約を人間と取り交わし、それで何百年も生きながらえてきました。
その契約とは、どんな願い事でも3日以内に叶え、それが実現した瞬間に、その人間から魂を奪い取るというものでした。それで、その奪った魂で自分の命をのばしていました。
「昔は簡単に人間をだまし、魂を奪いとれたんだが・・・」
しかし最近は、その契約があまり取れず、悪魔は、ほどほど弱りきっていました。
「んーそろそろ、どんな魂でも頂かんと、体がもたんわい。どこかに手っ取り早く契約がとれそうな人間はおらんかの」
そーいって悪魔が人間の姿をさがしていると、向こうから、小さな女の子が一人でとぼとぼ歩いてきました。
悪魔は、その女の子に近づき、こう話しかけました。
「おじょうちゃんは、ひとりなのかい」
少女はこくりとうなずきました。
「おとうさんやおかあさんはどうしたの」
すると少女は悲しそうな顔で
「いない」とだけ答えました。
悪魔はニヤリと笑みをうかべました。

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この少女の魂をいただいても、誰も探さないだろうし、この少女がいなくなっても、誰も疑問に思わないだろうと思ったからです。
悪魔はうれしくてたまらず、少女に優しくこう囁きました。
「おじょうちゃん、おじちゃんと契約をしないかい?」
「契約ってなぁに?」
「簡単なことさ、おじょうちゃんの願い事を3日以内にどんな事でも叶えてあげる。そのかわりその願い事が叶ったら、おじちゃんに、おじょうちゃんの魂をくれないかい?」
「うん、いいわよ」
悪魔は、うれしくておもわず、跳び跳ねそうになりました。
こんな簡単に契約がとれたことは初めてでした。
少女の願い事など、たやすいものだと、おもったからです。
さっそく悪魔は少女にたずねました。
「おじょうちゃんの願い事はなんだい」
少女はうつむきながら、こう答えました。
「でも、どうせわたしの欲しいものは手に入らないの」
そう聞くと、悪魔は、さも自慢げに話しだしました。

「俺はいままで、どんな難しい願い事も叶えてきたんだぜ。ある男は王様になりたいといったし、世界一の金持ちにしてやったこともあった」
悪魔は、そう得意げにいいました。
「それで、いったいおじょうちゃんの願い事はなんなんだい」
「じゃあ・・・わたしに愛をちょうだい」
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悪魔は、おもわず吹き出しそうになりました。
今まで叶えてきた願い事に比べたら、こんなに簡単な願い事など、ないとおもったからです。
「じゃあ、おじょうちゃん。約束どうり3日以内に愛をあげよう。
そのかわり願いが叶った時点で、おじちゃんに、おじょうちゃんの魂をくれるね。それでいいかい?」
少女は「うん」と小さくうなずきました。
「よし、ではさっそく今から、おじょうちゃんに愛をあげよう」
「愛・・・あい・・・アイ・・・愛はその・・・・・・えーっと・・・」
悪魔は、考え込んでしまいました。
いままでに、そんな願い事をされたことは一度もなかったからです。
「えーっと、えーっと。では、誰も身につけていないような、とってもかわいい服じゃだめかな?」

少女は大きく首を横に振りました。
「じゃあ、誰ももっていない、すっごくかわいいぬいぐるみではだめかい?」
また、少女は首を横に振りました。
「わたしが、欲しいものは愛だけなの。おじさんは、わたしに愛をくれないの」
悪魔は、困ってしまいました。
簡単に手に入るとおもった魂がもらえません。
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ひとまず、悪魔は、その少女を連れて帰ることにしました。
せっかくみつけた命です、簡単に手放すわけにはいきません。
3日以内になんとかできるだろうと、そうおもいました。
次の日、悪魔は、少女を連れて買い物にでかけました。
そこでいっぱい、いろいろな物を買い与えました。
少女はとても喜んでいました。
悪魔は、聞きました。
「どうだい、おじょうちゃん。満足したかな?これが愛ってもんだろ」

少女は急に淋しそうな顔になり首を大きく横に振りました。
そして、いいました。
「これは、愛じゃない」
次の日も悪魔は少女を連れて遊園地にいきました。
そして、一緒にいっぱい遊びました。
少女は、とても笑顔でいっぱいいっぱい笑いました。
悪魔も、そんな少女の笑った顔を見て、いっぱい、いっぱい、笑いました。
二人で一日中、とてもたくさん笑いあいました。
その夜、悪魔は、少女に聞きました。
「これでいいかい」
少女はいいました。
「ううん、まだちがう」
悪魔は、困ってしまいました。
困った悪魔は、少女に、こう聞きました。
「いったいどうすればいいんだい。愛っていったい、どんな物なんだい」
すると少女は、目にうっすら涙を浮かべながら、こういいました。

「わたしをもっと大事にして」
悪魔は、小さくうなずきました。

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そしてとうとう三日目の朝がやってきました。
契約がきれる日です。
今日中に契約をはたさなければ、少女の魂はもらえません。
その日も、悪魔は、できる限り少女の事を考え、
できる限り少女の事を大切に思い、
そして、できる限り少女を楽しませました。
でも、なぜだかわかりませんが、そんな自分も、とても楽しい気持ちになりました。
少女と過ごす時間は、今までひとりぼっちで生きてきた悪魔にとっても、とても幸せな時間になっていったのです。
夜になりました。
もうあと少しで契約がきれてしまいます。
悪魔は、これが最後だと思い聞きました。
「これでいいかい?これが愛ってもんだろ」
少女は首を横に振りました。
そして、悪魔にいいました。
「ちがう、これは愛じゃない」
悪魔は、落胆しました。

「じゃあ、お前のいっている愛ってものは、いったいどんなものなんだ」
「わからない」少女は、そういいました。
「わからない?お前はいままで俺に、わからないものを、ねだっていたのか」
おもわず悪魔は、大きな声を出してしまいました。
少女は、泣きながら悪魔の家を飛び出していってしまいました。

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悪魔は、頭を抱えながら、大きな椅子の上にどっかりと腰をおろしました。
今まで生きてきた中で、いつも冷静な自分が他人の事で大声をあげるなんて、自分でも信じられませんでした。
悪魔は、少女と出会ってから、今日までの事を思い出していきました。
今まで一度も笑った事がないのに、少女といるときだけは、大きな声で笑うことも自分では信じられませんでした。
少女が困った顔をすると、自分の事のように、胸が締め付けられました。
いつも、自分の事だけしか考えないで生きてきたのに、他人の事を思いやるなんて信じられませんでした。
悪魔の頭の中は、少女の事でいっぱいになっていました。
悪魔は、少女の事を好きになっていたのです。
契約の事など、もうどうでもよくなっていました。
今はただ、少女がまた自分のところに、戻って来てくれればそれでいいと。
悪魔は、もういてもたってもいられなくなり、座っていた大きな椅子から立ち上がると、
靴もはかず一目散に飛び出していきました。
悪魔は、少女の名を声が枯れるまで何度も何度も呼び続けました。
しかし、何度呼んでも返事はありません。
悪魔は、少女と遊んだ場所を、くまなく探して回りました。
一緒に買い物に出かけた街も、一緒に遊んだ遊園地にも、

少女と初めて出会った丘の上にも、へとへとになりながら、探しつづけました。

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しかし、どこを探しても少女はみつかりません。
それでも、悪魔は、あきらめませんでした。
歩きすぎて、ふらふらになっても、足の裏の皮がめくれて、そこから血がにじんできても、
一生懸命少女を探しつづけました。
そして、とある街の時計台の下で、とうとう少女をみつけだしました。
その時の悪魔の顔は、汗と涙でぐちゃぐちゃになっていました。
悪魔は、その汗と涙でぐちゃぐちゃになった顔で少女にこういいました。
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「愛している」と

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そして、少女を優しく抱きしめ、もう一度いいました。
「愛してる」
少女もこくりとうなずきました。
そして少女もいいました。
「わたしも・・・わたしも愛してる」
悪魔は、汗と涙でぐちゃぐちゃになった顔で、今度は強く少女を抱きしめました。
「ありがとう」
そうゆうと少女は悪魔の腕の中で幸せそうな笑みを浮かべながら静かに息をひきとりました。
時計台の鐘が鳴り響きました。
時計の針がちょうど0時をさしたのです。
悪魔と少女の契約は守られてしまいました。
悪魔は少女を抱きしめたまま、いつまでも泣きました。
いつまでもいつまでも泣きました。

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それから何年もたちました。
悪魔はまだ泣いていました。
あれからとゆうもの、悪魔は一度も人間と契約をかわさず、よろよろになって生きていました。
そこへ、年老いた悪魔がやってきました。
弱りきった悪魔をみると、年老いた悪魔は、こうたずねました。
「なにをそんなに泣いておるのじゃ」
悪魔は、静かに話しだしました。
少女と出会ったこと、少女を好きになったこと、その少女を自らの手で殺してしまったこと、その少女をまだ愛していること。
そして、「できるならば、もう一度会いたい」と。
年老いた悪魔は、大きな声をあげて笑いだしました。
「悪魔が人間の命を奪って後悔しているなど、聞いたことがないぞ。そんなお前さんは、悪魔失格じゃな」
悪魔は、いいました。
「いっそのこと、自分も死にたい」と。
しかし悪魔には、自ら命を絶つことは、許されませんでした。
「そんなに死にたいとゆうのなら、この老いぼれと契約しないか?」
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そうゆうと、年老いた悪魔は、ニヤリと怪しげな笑みを浮かべると、持っていたナイフで心臓を一突きしました。
悪魔は、「ありがとう」といって、安らかな顔でこの世を去りました。

 

 

それから何百年がたちました。

 

ここは、小さな港町のきれいな海がみえる丘の上の教会です。
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僕は今日ここで、彼女と二人だけの結婚式を挙げる予定です。
彼女って誰かって・・・?
それはもちろん。
ほうら、もうすぐウエディングドレスを着た彼女がこちらにやってきます。
「ごめんごめん遅くなって。ドレス着るのに手間取っちゃって。」
「どれだけ待たせるんだい」
「ごめーん、だいぶ待ったよね」
「もう、何百年も待ったよ」
「何百年って、おおげさね」と彼女が笑いました。
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「えへん」年老いた神父さんが、けげんそうな顔でこちらをみました。
「えぇ〜、ではこれよりお二人には、神の前で永遠の愛を誓っていただきます。」
年老いた神父さんは、そうゆうと聖書片手にゆっくり話だしました。
「あなたは神を信じますか?」

年老いた神父さんが、彼女に聞きました。
「はい、信じます」
彼女が答えました。
「えーでは、次に新郎に聞きます。あなたは・・・」
そうゆうと、年老いた神父さんは、ニヤリと笑みを浮かべ僕にいいました。
「あなたは悪魔を信じますか?」
隣にいた彼女が一瞬驚いた顔でこちらをみました。
僕もニヤリと笑みを浮かべ
そして、心の中でつぶやきました。
「ありがとう。僕の願いを叶えてくれて」
神父さん、いや、年老いた・・・